古い家の固定資産税は下がる?建物と土地で違う話

毎年届く納税通知書を見て、築年数のわりに高いと感じたなら、その感覚は外れていない。
建物の評価額は築年とともに下がるが、再建築価格の2割で止まる(木造は27年で下限)。一方の土地は築年数では動かず、家が建っている限り課税標準が6分の1に軽くなっている。下がる余地が残るのは建物側だけで、土地側は家を壊した瞬間に重くなる。
この記事の目次
建物の固定資産税は下がる。ただし木造27年で止まる
家屋の評価額は、いま同じ建物を建て直したらいくらかかるかという再建築費をもとに決まる。青森市の説明では、再建築費評点数、損耗の状況による減点補正率、評点1点当たりの価額を乗じて求めるとされている(青森市、2025年1月27日更新)。このうち築年数を反映するのが経年減点補正率だ。
ただし下限がある。損耗の状況による減点補正率は0.2が限度で、一定年数を経過した場合はすべて0.2に据え置く。建物の評価額は、どれだけ古くなっても再建築価格の2割で止まり、ゼロにはならない。
下限に届くまでの年数は構造で違う。東京法務局が公表する経年減価補正率表(令和5年11月15日付け総務省告示第385号による改正後の固定資産評価基準から平均値を算出したもの)では次のように動く。
| 経過年数 | 木造 | 非木造 |
|---|---|---|
| 1年 | 0.80 | 0.9579 |
| 5年 | 0.64 | 0.8569 |
| 10年 | 0.50 | 0.7397 |
| 15年 | 0.37 | 0.6225 |
| 20年 | 0.25 | 0.5054 |
| 27年以上 | 0.20(下限) | 0.3596 |
| 45年以上 | 0.20(下限) | 0.2000(下限) |
築30年の木造なら、建物の評価額はすでに下げ止まっている。古いのに減らないと感じるなら、まずこの下限を疑う。
下がらないどころか評価額が上がる年がある理由
評価替えは3年に1度で、令和6年度が基準年度にあたる。第2年度(令和7年度)と第3年度(令和8年度)は原則として基準年度の価格を据え置く(東京都主税局、2026年7月31日確認)。築年数が1年進んでも税額が動かない年があるのは、この3年刻みによる。
評価替えでは建築物価の変動も反映されるため、建築費が大きく上がった局面では、経年で減る分より物価で増える分が上回ることがある。岡山市は、建築費の上昇が激しい場合には見かけは古くなっても価格が減少せず、かえって上昇することがあると説明している(岡山市、2019年12月26日更新)。
ただし、それがそのまま増税になるわけではない。評価替えによる評価額が前の価格を上回る場合には、現実の税負担を考慮して原則として評価替え前の価格に据え置く。上がった評価額は課税には使われず、結果として建物の税額が何年も同じ数字で並ぶ。
土地は築年数で動かない。効いているのは住宅用地の特例
土地の固定資産税評価額は、上に建つ家の築年数とは無関係に決まる。地価が動けば3年ごとの評価替えで動くが、家が古いかどうかは影響しない。それでも実家の土地の税額が抑えられているなら、効いているのは住宅用地の特例だ。
総務省の説明では、200平方メートル以下の住宅用地は課税標準額が価格の6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減される。都市計画税では小規模住宅用地が3分の1、一般住宅用地が3分の2になる(東京都主税局)。この特例は、居住できる家屋がその土地に建っていることを前提にしている。
建物のない土地には、この6分の1が効かない
編集部は沖縄の傾斜地を相続し、売却や寄付を含めて出口を検証したが、どれも成立せず保有が続いている。建物がないため固定資産税は年約7万円で、毎年そのまま出ていく。
実家の土地が軽く見えるのは、上に古い家が建っているからでもある。建物を落とした瞬間に、その前提が消える。
古い家の固定資産税はいくらか。確かめ方と計算の順番
納税通知書は毎年4月から6月ごろに届く。同封の課税明細書に、土地と家屋それぞれの価格(評価額)と課税標準額、税相当額が並んでいる。手元にない場合は評価額から計算する。
- 固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率。市町村は必要があるときは異なる税率を定められる)
- 都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%を上限に市町村が定める税率(市街化区域内。東京23区は0.3%)
- 土地の課税標準額 = 評価額 × 住宅用地特例率(200平方メートル以下の部分は6分の1、超える部分は3分の1)
- 家屋の課税標準額 = 評価額(面積による一律の軽減はない)
以下は説明のための仮定値で、実際の評価額は自治体が算定する。
| 区分 | 評価額 | 課税標準額 | 税額(1.4%) |
|---|---|---|---|
| 土地170平方メートル | 900万円 | 150万円(6分の1) | 21,000円 |
| 家屋(築30年・木造) | 240万円 | 240万円 | 33,600円 |
| 合計 | - | - | 54,600円 |
地価の高い地域では特例が効いていても土地側が大半を占め、地価の低い地域では下げ止まった建物側が総額を押し上げる。
建物の税がゼロになる線がある(免税点)
固定資産税には免税点がある。同一の市町村内で同じ人が所有する固定資産について、課税標準額の合計が土地は30万円未満、家屋は20万円未満であれば課税されない(東京都主税局、資産評価システム研究センター「固定資産税のしおり」令和6年度、2026年7月31日確認)。償却資産は150万円が線になる。
古い家では、この線に建物側だけが引っかかることがある。経年減点補正率が0.2の下限に達したうえで、もともとの再建築価格が小さい小規模な木造家屋なら、家屋の課税標準額が20万円を下回ることは起こりうる。その場合、家屋の固定資産税はかからず土地だけに課税される。
判定は資産の種類ごと、市町村ごとに行われる。同じ市内に小さな土地を2筆持っていて、それぞれ30万円未満でも合計で30万円以上になれば両方に課税される。もう1つは、免税点未満で課税が生じない場合、納税通知書自体が届かないことがある点だ。相続してから一度も見ていないなら、課税がないのか、通知が旧所有者の住所へ送られているのかを資産税課で分けて確認する。
放置すると土地の軽減が外れる(管理不全空家等)
空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)が令和5年12月13日に施行され(国土交通省)、管理不全空家等という区分が新設された。
管理不全空家等は、適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空家等を指す。市区町村長は所有者に必要な措置をとるよう指導でき、改善がなければ勧告に進む。勧告を受けた管理不全空家等の土地は住宅用地特例が解除され、固定資産税と都市計画税の軽減が受けられなくなる(地方税法第349条の3の2第1項。越谷市、宝塚市)。
宝塚市は、勧告を受けた場合に土地の固定資産税が約3倍から5倍になる可能性があると説明している。
裏返せば、指導の段階で改善すれば特例は外れる前に止まる。草木の繁茂、外壁や屋根の破損、ごみの堆積といった、外から見て管理が放棄されているとわかる状態を作らないことが、そのまま税額を守る実務になる。判定の流れは空き家の固定資産税が6倍になる条件と回避の順番と空き家の固定資産税が6倍になる条件|管理不全空家とはで分解している。
解体して更地にすると、税はどう動くか
古い家を解体すれば家屋の固定資産税はなくなるが、かわりに土地の住宅用地特例が外れる。差し引きで安くなるかどうかは、建物と土地の評価額の比率で決まる。
課税標準が6分の1から本則に戻るなら6倍に見えるが、そうはならない。総務省の説明では、商業地等の宅地(住宅用地以外の宅地)の課税標準額は評価額の70%と負担調整後の額のいずれか低いほうとされている。上限が70%で頭打ちになるため、増え方はおよそ4倍が目安になる。
| 状態 | 土地 | 家屋 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 古い家を残す | 21,000円 | 33,600円 | 54,600円 |
| 解体して更地 | 88,200円(900万円×70%×1.4%) | 0円 | 88,200円 |
建物分が消えても総額は増える。これに解体費用が上乗せされる。解体費は構造、延床面積、前面道路の幅、重機が入るか、アスベストの有無、ブロック塀や庭木や残置物で大きく動くため、一律の相場で判断しないほうがいい。
更地にする合理性があるのは、更地でなければ買い手が付かない場合、倒壊や飛散の危険が現に生じている場合、自治体から管理不全空家等として指導を受けている場合に限られる。税を下げる目的だけで解体すると、負担は逆に増える。
解体費は同じ家でも会社によって差が出る
見積りを1社だけで判断すると、その額が高いのか安いのか比べる材料がない。構造と延床面積を伝えて複数社の金額を並べると、上乗せされている項目が見える。
無料で解体費用を比べる売る場合に期限がかかる控除(空き家の3000万円特別控除)
保有し続ける限り、固定資産税は毎年出ていく。出口を売却に取る場合、相続した空き家には専用の控除がある。被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3000万円特別控除は、平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの譲渡が対象になる(国税庁タックスアンサーNo.3306、2026年7月31日確認)。主な要件は次のとおり。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 売却代金が1億円以下であること
- 譲渡の時に一定の耐震基準を満たすこと、または家屋の全部を取り壊した後に敷地を売ること
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合、控除額は2000万円になる
適用の可否と手続きは税理士または所轄の税務署で確認する。押さえるのは期限で、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日と、令和9年12月31日が二重にかかっている。
固定資産税評価額と実勢価格は別の数字なので、課税明細書から売却額は逆算できない。評価額の読み方は実家の固定資産税はいくら?評価額から自分で計算で確認したうえで、実勢の水準は査定で確かめる。
評価額と売却価格は別の数字
築年数が古くても、土地に需要があれば値が付くことはある。逆に建物を壊してから売れないとわかると、土地の税だけが重くなる。順番として、壊す前に価格の目安を取る。
無料で査定額を調べる自分の家の数字を確かめる手順
手を動かす順番は次のとおり。
- 納税通知書と課税明細書を探す。土地と家屋の価格(評価額)と課税標準額を分けて読む
- 見つからない場合は、市町村の資産税課で固定資産課税台帳(名寄帳)の閲覧、または評価証明書を請求する。閲覧できるのは所有者、相続人、借地人などに限られ、本人確認書類と手数料が要る
- 家屋の評価内訳を確認する。経年減点補正率が0.2まで下がっているかで、今後さらに下がる余地があるかが決まる
- 土地の課税明細で住宅用地特例が適用されているかを確認する。課税標準額が価格の6分の1前後なら効いている
評価額そのものに納得がいかない場合は、固定資産評価審査委員会への審査の申出という手続きがある。期限と対象年度が決まっているため、納税通知書の案内と自治体窓口で条件を確認する。
名義が親のままでも課税は止まらない。豊明市は、亡くなった人の固定資産税はその相続人が納税義務を引き継ぐと説明している。通知書の宛名と実際の所有関係がずれたままだと、誰か一人の口座から支払いだけが出続ける状態になりやすい。
