墓じまいのお布施はいくら包む?封筒の書き方まで

お布施には請求書が来ない。金額を自分で決める段になって手が止まる。
閉眼供養のお布施は3万〜10万円が事業者と士業の公表値で、下限は揃い上限が5万か10万かで分かれる。封筒は白無地か奉書紙、表書きは御布施を濃い墨で書く。御車代と御膳料は5千〜1万円で別に包む(2026年7月30日確認)。
この記事の目次
寺に渡す金は一種類ではない。お布施は読経への礼だけを指す
墓じまいで寺に渡す金額は、性質の違うものが同じ場面で動く。先に分けておく。
- 閉眼供養のお布施:墓を閉じるときの読経に対する礼。この記事が扱うのはこの金額
- 離檀料:檀家を離れるときに慣習として渡すお布施。法令に定めはない
- 年間管理料の未納分:墓地の使用契約に基づく債務。礼ではなく支払い
- 墓石の撤去と原状回復の工事費:石材店に払う代金。寺への礼とは別の見積書で出る
閉眼供養は魂抜き、お性根抜きとも呼ばれる。
消費税が乗っているなら、それはお布施ではない
国税庁は、お布施や戒名料、玉串料などの葬儀・法要等に伴う収入は実質的な喜捨金であり課税の対象とはならないとしている(出典:国税庁・質疑応答事例(消費税)お布施、戒名料、玉串料等、令和7年8月1日現在の法令通達に基づく・2026年7月30日確認)。示された金額に消費税が加算されていれば、その部分は読経への礼ではなく工事や物品の代金だ。
行政の手続きに供養の証明は要らない
改葬の許可に添付する書類は墓地、埋葬等に関する法律施行規則が定めており、墓地の管理者が作成した埋蔵の事実を証する書面などで、供養を行った証明は入っていない(出典:e-Gov法令検索・墓地、埋葬等に関する法律施行規則第2条、2026年7月30日確認)。お布施は役所の要件ではなく、寺との関係の中だけの話になる。
金額の目安は出どころで違う。並べると幅の理由が見える
3万〜10万円という幅がよく出るが、上限は出どころで違う。(いずれも2026年7月30日確認)。
| 出どころ | 示されている金額 | 何の前提か |
|---|---|---|
| 小さなお葬式 | 3万〜10万円程度/僧侶手配業者経由は3万〜5万円程度 | 菩提寺の僧侶か、手配した僧侶かで分ける |
| ライフドット | 3万〜10万円/単発で依頼する場合は3万〜5万円 | 地域と寺で差があるとする |
| いいお墓 | 3万〜10万円程度 | 付き合いのある寺に頼む場合 |
| エータイ | 3万〜5万円程度 | 寺院墓地は閉眼供養が必須、民営墓地は必須でないとする |
| 大塚法務行政書士事務所 | 3万〜5万円程度 | 行政書士が実務で示す幅 |
| 鈴木石材店 | 墓の閉眼供養は3万〜10万円程度 | 仏壇だけなら1万〜5万円程度と段階で分ける |
| 安東石材店 | 閉眼供養3万〜5万円/開眼と同日なら5万〜10万円 | 同じ日に2つの法要を頼む場合を別立てにする |
| 曹洞宗宗務庁 | 取り決めなし | 宗門として金額の定めも指導もない |
上限側に寄る条件は2つ。長い付き合いのある菩提寺に頼む場合と、同じ日に複数の法要をまとめて頼む場合だ。僧侶手配のサービスで単発に依頼する形は下限側に寄る。宗門公式としての取り決めがない例もあり、本山に問い合わせても数字は出てこない前提で動くほうが早い。
当日いくつ封筒が必要か。数を先に確定させる
| 封筒 | 表書き | 目安 | 用意する条件 |
|---|---|---|---|
| 閉眼供養のお布施 | 御布施 | 3万〜10万円 | 読経を頼むなら必ず |
| 御車代 | 御車代 | 5千〜1万円程度 | 寺の外にある墓へ来てもらう場合。境内の墓地で移動がないなら不要 |
| 御膳料 | 御膳料 | 5千〜1万円程度 | 会食を設けて僧侶が同席しない場合。閉眼供養の後に会食を設けないことが多く、用意しない例も多い |
| 離檀料 | 御布施 | 出どころにより5万〜20万円など | 檀家を離れる場合。考え方は別記事に分けた |
| 納骨先のお布施 | 御布施 | 5千〜1万円程度から3万〜5万円程度 | 新しい供養先で読経を頼む場合 |
御車代と御膳料は、お布施と同じ封筒にまとめず別に包むのが正式とされる(全国永代供養墓・樹木葬グループ、安東石材店、いずれも2026年7月30日確認)。お布施と離檀料は寺の慣習によって1つにする形も別に包む形もあり、金額の考え方は離檀料はいくら払う?相場と高額請求されたときの対処に分けた。同じ日に開眼供養も頼むなら袋を分けるのが丁寧とされる(安東石材店)。
工事費を先に確定させると、包む額を落ち着いて決められる
墓石の撤去と新しい供養先の費用は、地域の石材店から一括で比べられます。工事の金額が先に固まっていれば、寺に渡す封筒の合計をどこまでにするかを自分の側で計算できます。金額を知るだけの利用でかまいません。
無料で墓じまいの費用を比べる袋は白無地か奉書紙。案内が2系統に分かれている
使う袋の案内は2系統ある。水引のない白無地の封筒か奉書紙とするものと、不祝儀袋とするものだ。どちらでも失礼にはならない。
- 白無地の封筒か奉書紙。二重封筒は不幸が重なることを連想させるので使わない(小さなお葬式、2026年7月30日確認)
- 不祝儀袋。用意できない場合は郵便番号の印刷されていない白い封筒(いいお墓、2026年7月30日確認)
- コンビニや100円ショップで買えるもので足りる(ライフドット、2026年7月30日確認)
迷ったら白無地を選ぶ。地域によって水引の付いた袋を使う慣習もあるので、親族に前例があるならそちらに合わせる。郵便番号枠のない厚手の白封筒で、1万〜5万円は長形4号、5万円以上は長形3号が目安。糊付けは原則しない(出典:北のお葬式、2026年7月30日確認)。
表書きと中袋。墨の濃さは香典と逆になる
表書きは御布施とし、下段に施主のフルネームか○○家と書く。名前は御布施の文字より大きくしない。御礼や御経料と書く形もある(サン・ライフ、2026年7月30日確認)。
薄墨で書かない
香典は薄墨で書く慣習があるため混同しやすい。小さなお葬式は、お布施は寺院への感謝を示すものなので濃い墨で書くとし、薄墨はマナー違反になると明記している(出典:小さなお葬式・お布施は薄墨か濃い墨か、2026年7月30日確認)。薄墨と案内する媒体もある(いいお墓)。薄墨の由来は急な訃報で墨をする時間がなかったことで、日程を決めて頼む閉眼供養には当てはまらない。
中袋に書くもの
金額、住所、氏名を書く。金額は旧字体の大字で書き、末尾に也を添える(いいお墓、全国永代供養墓・樹木葬グループ、いずれも2026年7月30日確認)。
| 包む額 | 中袋の書き方 |
|---|---|
| 3万円 | 金参萬円也(金参萬圓也) |
| 5万円 | 金伍萬円也(金伍萬圓也) |
| 7万円 | 金七萬円也 |
| 10万円 | 金拾萬円也 |
| 5千円(御車代など) | 金伍千円也 |
中袋のない封筒なら、裏面の左側に住所と氏名、右側に金額を書く。お札は肖像画が表側で上に来るように入れる。新札でも古い札でもかまわないとされ、汚れた札は避ける(いいお墓、2026年7月30日確認)。
渡すタイミングと渡し方。金額は当日に決めない
渡すのは供養の前後どちらでもよいとされる。事前に受け取る寺もあるので、日程の打合せで聞いておく(お墓の引越し&墓じまいくん、2026年7月30日確認)。切手盆に載せ、相手が表書きを読める向きに回して差し出す。切手盆がなければ袱紗に包んで持参し、袱紗の上に載せて両手で渡す(いいお墓、安東石材店)。添える言葉は読経の礼だけにして、金額や工事の話をその場で始めない。
金額は打合せの段階で決めておく
日程を決める連絡のときに、閉眼供養のお布施と離檀料を分けるのか、御車代が必要か、渡すのは前か後かまで聞いておく(エータイ、2026年7月30日確認)。お気持ちでと返ってきた場合は、地域の親族に前例を聞く。
宗派で法要の名前が変わる。浄土真宗は閉眼供養と言わない
浄土真宗では、墓や仏壇から魂を抜くという考え方をしない。浄土真宗本願寺派の正宣寺は、お性根や魂を抜くということではないため閉眼法要や抜魂式とはいわないと明記している(出典:浄土真宗本願寺派 光寿山正宣寺・遷仏式、2026年7月30日確認)。
代わりに行われるのが遷仏法要や遷座法要で、読むお経が変わるだけで施主の準備やお布施の考え方は変わらないとされる(いいお墓・浄土真宗の墓じまい、2026年7月30日確認)。開眼供養に当たるものは建碑法要と呼ばれる。表書きは御布施で通る。寺に電話するときは儀式の名前を当てにいかず、墓を撤去する前のお勤めをお願いしたいと用件で伝えるほうが確実だ。
閉眼供養をしないという選択はできるか
法令は供養を求めていない。改葬許可の添付書類に供養の証明は含まれず、行わなくても要件を欠かない。
鈴木石材店は、多くの石材店や仏具店、不用品回収業者が閉眼供養の終わっていない墓や仏壇の撤去作業を嫌がるとし、理由として勝手に処分したという親族間のトラブルを防ぐためと説明している(出典:鈴木石材店、2026年7月30日確認)。寺院墓地は閉眼供養が必須、民営墓地では必須でないとする整理もある(エータイ)。確認の順番は、墓地の管理者に必要かを聞く、石材店に供養なしで着工できるかを聞く、そのうえで親族に諮る。省くと決めた場合に問題が出るのは、寺からではなく親族の側からであることが多い。
動かせない金額を先に固めてから、包む額を決める
撤去工事と新しい供養先の費用は、見積で確定できる部分です。ここを先に固めておくと、寺に渡す封筒にいくら回せるかが決まり、当日に迷う余地が減ります。
無料で墓じまいの費用を比べる新しい納骨先で、もう一度必要になることがある
遺骨を納める側で読経を頼むなら、そこでも礼が生じる(いずれも2026年7月30日確認)。
- 寺院墓地の個人墓で開眼供養をする場合は5千〜1万円程度とする案内(いいお墓)
- 納骨先での法要は3万〜5万円程度とする案内(全国永代供養墓・樹木葬グループ)。開眼供養を3万〜5万円とする石材店の案内もある(安東石材店)
- 合祀や散骨、手元供養では開眼供養をしないことが多く、読経を頼む場合に5千〜1万円程度(いいお墓)
- 新しい寺の檀家になる場合は入檀料が生じることがあり、10万〜30万円程度とする案内がある(ALSOK)
公営や民営の霊園では開眼供養をしないこともある。参列する側は香典不要とする案内が一般的で、新しい墓を建てた場合は建碑祝い、そうでなければお供えとして5千〜1万円を包む(墓石コネクト、2026年7月30日確認)。服装は墓じまいの服装|閉眼供養に喪服は必要かに分けた。
渡した記録を自分で残す。精算と税の話が後から来る
お布施は領収書が出ないことがある。渡した日、金額、何に対する分かを1枚に書いて残す。分担の精算に使え、後から別の名目で追加を求められたときに何を済ませたのかを示せる。
国税庁は、相続財産から控除できる葬式費用として寺などへの読経料のお礼を挙げる一方、墓石や墓地の買入れ費用、墓地を借りるための費用、初七日などの法会に要する費用は含まれないとしている(出典:国税庁・No.4129 相続財産から控除できる葬式費用、令和7年4月1日現在・2026年7月30日確認)。墓じまいの閉眼供養は葬式に伴うものではないので、この読経料の礼にそのまま当てはまるとは書けない。振込で渡してよいかを寺に尋ねれば記録が自動で残るが、現金しか受けない寺もある。
提示された金額の当否と支払い義務は弁護士、相続税での扱いは税理士、宗派の作法は菩提寺と宗務所の範囲で、編集部は判断しない。全体の流れは墓じまいとは?費用と流れ、遺骨の行き先の決め方にある。
