仏壇の処分方法と費用|魂抜きから引き取りまでの順番

仏壇だけが決まらないまま実家に残っている、という状態はよくあります。
費用は供養と処分と搬出の3つに分かれます。全部を業者に任せると合計で2万円から20万円前後、自治体の粗大ごみを使えば本体は1,000円程度で済みます。順番は中身の確認、法要、引き取りの3手です。
この記事の目次
仏壇の処分費用は「供養」「処分」「搬出」の3つに分かれる
同じ仏壇でも、聞いた金額が数千円と20万円に分かれます。安い方が雑なのではなく、見積りに入っている層が違うだけです。
| 費用の層 | 払う相手 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 供養(閉眼供養・魂抜き、浄土真宗では遷仏法要) | 菩提寺、または僧侶を手配するサービス | お布施に定価はない。料金を公開しているサービスは目安として税込33,000円 |
| 本体の引き取りと処分 | 自治体、仏壇店、一般廃棄物の許可業者 | 自治体の粗大ごみは1,000円台まで。仏壇店の引き取りは2万円から8万円ほど |
| 部屋からの搬出と運搬 | 業者、または自分と家族 | 一式料金に含まれる場合と、階段や重量で加算される場合がある |
依頼先5つを費用と手間で比べる
| 依頼先 | 費用の目安 | 供養 | 搬出 |
|---|---|---|---|
| 菩提寺 | お布施として1万円から10万円ほど | 本体 | 寺まで運ぶのは自分の場合が多い |
| 仏壇店・仏具店 | 2万円から8万円ほど | 店が手配、または合同供養 | 訪問引き取りに対応する店がある |
| 自治体の粗大ごみ | 1,000円前後 | 含まれない | 指定場所まで自分で出す |
| 一般廃棄物の許可業者・遺品整理業者 | 他の家財と合わせて見積り | 提携寺院を手配する業者がある | 室内から運び出す |
| 買取・リサイクル | 値が付けば収入、付かなければ断られる | 含まれない | 店の方針による |
菩提寺と仏壇店の幅は、大手仏壇店のはせがわが自社サイトで示している数字です(はせがわ「お仏壇処分の方法と費用」/2026年7月30日確認)。同社の引き取り価格は、引き取りのみ19,800円〜77,000円(税込)、新しい仏壇の購入と同時なら16,500円〜44,000円(税込)。仏具は1箱5,500円程度、置台は11,000円という別建てです。
自治体の粗大ごみに出す場合の実額と手順
手数料は自治体ごとに決まっていて、公開されています。2026年7月30日に確認した時点で、名古屋市と大阪市はどちらも仏壇を1点1,000円としています。
- 名古屋市:粗大ごみ手数料は250円から1,500円までの4区分で、仏壇は1,000円(名古屋市「粗大ごみ手数料のめやす」)
- 大阪市:粗大ごみ処理手数料は1点につき200円から1,000円までの4区分で、仏壇は1,000円(大阪市「粗大ごみ処理手数料一覧表」)
名古屋市が収集しない物に挙げるのはがれきや鉄塊、ピアノ、FRP浴槽で、仏壇は入っていません。大型家具と同じ扱いです。品目名や金額は自治体ごとに違い改定もされるので、自分の市区町村の品目一覧で仏壇の欄を確認します。
出すまでの流れ
- 先に中身を出し、供養が必要なものを分ける(本尊、位牌、遺影など)
- 粗大ごみ受付センターに電話かインターネットで申し込む。品目とサイズを伝えると手数料と収集日、出す場所が案内される
- 案内された金額の手数料券(シール)を買い、受付番号か氏名を書いて本体に貼る
- 収集日の朝までに、指定された場所へ出す
詰まるのは4つ目です。仏壇は小型でも大人2人がかりの重さで、台付きの大型は1人では持ち上がりません。玄関から集積所まで運べるか、階段があるか、扉や引き出しを外して軽くできるかを先に見ておきます。
仏壇店と回収業者に一式で頼む場合の実額
| 依頼先 | 公開されている料金(税込) | 条件 |
|---|---|---|
| はせがわ | 引き取りのみ19,800円〜77,000円/購入と同時なら16,500円〜44,000円 | 仏具1箱や置台は別建て |
| メモリアルアートの大野屋 | 訪問引き取り55,000円〜165,000円(高さ60cm未満から180cmまでの3区分) | 買い替え時は33,000円〜77,000円 |
大野屋は僧侶による読経を行う形で、仏像、位牌、掛軸、遺影は1点ごとに加算され、目安は11,000円です(大野屋「仏壇処分の方法・費用」/2026年7月30日確認)。高さで料金が3倍近く変わるため、見積りの前にメジャーで高さと幅と奥行きを測っておくと話が早く終わります。金額の差を作るのは、供養の形(個別の読経か合同供養か)、搬出の難度、位牌や仏具を何点まで含むかの3点です。
仏壇の運搬や引き取りだけを単発で頼みたいとき
出店している事業者ごとに料金と口コミが並んでいるため、仏壇の運び出しや引き取りのような単発の作業を、金額を見てから頼めます。訪問見積りなしで金額が決まる形なので、他の家財がなく仏壇だけを動かしたい場合に向いています。
作業の料金を比べる魂抜き(閉眼供養)を誰に頼むか
閉眼供養は、僧侶に読経してもらい、仏壇を祀る対象から外す法要です。魂抜き、お性根抜きとも呼ばれます。法律の手続きではないので、やらずに処分することもできます。
- 菩提寺がある場合:まず菩提寺に連絡する。引き取りまで受けてくれる寺と、法要だけの寺がある。お布施に定価はなく、金額を尋ねても失礼にはあたらない
- 菩提寺がない場合:僧侶を手配するサービスを使う。料金が先に決まっているので予算が立つ
後者の例として、僧侶手配を行う株式会社終楽のサービスは、仏壇の魂抜き・閉眼供養を目安として税込33,000円で表示しています。読経代、お布施、お膳料、お車代、仲介手数料を含む金額で、宗派の指定や供養証明書の発行はそれぞれ5,500円前後の追加です(涙そうそう「仏壇で魂抜き・閉眼供養」/2026年7月30日確認)。
順番は、法要の日を決める、中身を分けておく、法要のあとに引き取りへ回すの3手です。お布施の包み方と当日の流れは仏壇の魂抜きは必要?お布施の相場と依頼の手順で扱っています。
宗派で変わるのは呼び名と作法
浄土真宗では、閉眼供養や魂抜きという言い方をしません。仏壇やご本尊に魂が宿るという考え方を取らないためで、代わりに遷仏法要(遷座法要)を勤めます。浄土真宗本願寺派の寺院は、ご本尊を一時的に移すとき、そして誰も住まなくなった家のご本尊を処分するときに遷仏式を勤めると説明しています(浄土真宗本願寺派 正宣寺「遷仏式(遷仏法要)」/2026年7月30日確認)。
宗教団体が独自に授与する本尊を祀っている場合は、一般の仏壇店では引き取りを断られることがあり、本尊は所属先の窓口に相談する形が案内されています(小さなお葬式「古い仏壇を処分する前に」/2026年7月30日確認)。本体だけを自治体や業者に回し、本尊は別ルートで戻すという分け方になります。
仏壇の中身は本体と分けて考える
処分で失敗が起きるのは本体ではなく中身です。先に全部出して、4つに分けます。
- 供養して手放すもの:ご本尊、掛軸、位牌、法名軸、遺影
- 普通に分別できるもの:りん、燭台、花立て、香炉。木やプラスチックは可燃、金属や陶器、ガラスは不燃という分け方が一般的で、細かい区分は自治体の一覧に従う
- 捨ててはいけないもの:通帳、印鑑、権利証、現金、家系図、過去帳、写真
- 次の家に持っていくもの:小さい仏壇に移す本尊や位牌
仏壇には隠し引き出しや二重底が付いているものがあります。引き出しを全部抜いて裏側と底板まで確認します。位牌は、新しい仏壇に移す、寺に預けて永代供養にする、お焚き上げに出すの3通りで、位牌だけ家に残して仏壇を先に処分する順番も取れます。詳しくは位牌の処分方法と費用|永代供養に預ける選択肢で扱っています。
誰が処分を決められるのか
仏壇や位牌、墓は祭祀財産と呼ばれ、預貯金や不動産とは別のルールで引き継がれます。民法897条は、系譜、祭具、墳墓の所有権について、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると定め、被相続人が指定していればその人が承継するとしています。慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めます(条文は東京弁護士会「祭祀承継者」で確認/2026年7月30日確認)。
- 祭祀財産は遺産分割の対象ではない。相続人全員で分けるものではなく、承継する人が決まる
- 処分するかどうかを決められるのはその承継者になる。全員の同意が法律上の要件というわけではない
- 決まらないまま対立した場合の出口は、家庭裁判所の調停や審判になる
国税庁は、相続税がかからない財産として、墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物を挙げ、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかるとしています(国税庁タックスアンサーNo.4108/令和7年4月1日現在の法令等にもとづく記載を2026年7月30日に確認)。実家全体の順番は実家じまいとは?進め方と費用の全体像を7ステップで解説に置いています。
業者に頼む前に確認する許可と見積り
業者に頼むとき確認するのは、宗教的な作法ではなく許可の種類です。家庭から出るごみを回収して運ぶには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。産業廃棄物収集運搬業の許可や古物商の許可では、家庭のごみを回収できません(東京都環境局「ご家庭から出るごみの出し方についての注意」/2026年7月30日確認)。
国民生活センターは2022年11月2日の公表資料で、許可を受けずに回収する事業者とのトラブルを注意喚起しています。相談件数は2018年度1,354件から2021年度2,231件へ増え、見積りが7,000円から15,000円に引き上げられた、トラック詰め放題で頼んだのに台数を足して請求されたといった事例が並びます(国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」/2026年7月30日確認)。
電話やメールで聞く項目を決めておくと、比較が楽になります。
- どの市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか
- 閉眼供養は自社で手配するのか、施主が用意しておく前提なのか
- 位牌や仏具、置台は料金に含むのか、点数で加算するのか
- 階段、間口が狭い、解体が必要といった条件で追加料金が出るのはどんな場合か
- 見積りは書面かメッセージで残せるか
実家が空き家、遠方で立ち会えないとき
遠方で何度も通えない場合、段取りを3つに束ねると1回の帰省で終わります。
- 帰省の前に、法要の日と引き取りの日を同じ日に寄せる。仏壇店や業者が僧侶を手配できるなら1回で済む
- 中身の確認だけは自分でやる。写真を撮っておくと、あとで親族に説明できる
- 他の家財と一緒に見積りを取る。まとめたほうが搬出の人手が共有されて総額が下がることがある
立ち会えない場合は、法要だけを済ませておき、引き取りは鍵の受け渡しで進める形も取れます。ただし本尊や位牌のような供養して手放すものは、あとから戻せません。
他の家財とまとめて片づけるとき
遺品整理士が在籍する業者の料金とサービスを比べられます。仏壇の供養や引き取りに対応する業者と、家財の片づけをまとめて依頼できるため、遠方で何度も通えない場合に日程を1回に寄せやすくなります。
遺品整理の料金を比べる処分しない選択肢もある
置き場所が理由で処分を考えている場合、手放す以外の道があります。
- 小さくする:ご本尊と位牌を小型の仏壇に移す。遷す法要は必要だが、祀る形は残る
- 洗って直す:金具の直しや漆の塗り直しで使い続ける。買い替えとの費用比較になる
- 寺に預ける:継ぐ人がいない場合、位牌を寺に預けて永代供養にし、本体だけを手放す
- 今は動かさない:家を売る時期が決まっていないなら、決めるのは家の出口が見えてからでも間に合う
直して使う場合の費用感と買い替えとの比較は仏壇のクリーニングと修理の費用|買い替えとの比較にまとめています。
