ブロック塀の解体費用と、自治体の助成金が出る条件

ブロック塀の撤去は、実家の庭で判断が後回しになりやすい工事です。
長さ10メートル前後の塀なら総額は約4万〜35万円という幅で公開値が並びます。金額を下げる余地は値引きより自治体の助成にあり、対象になるかは道路等に面するか、高さが1メートル前後の線を超えるか、点検で1項目でも不適合があるかの3つで決まります(2026年7月30日時点)。
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見積りを取る前に、塀を3つの数字に置き換える
ブロック塀の撤去費用は、1メートルあたりで出す業者と1平方メートルあたりで出す業者が混在します。数え方の違う見積書は総額を比べられないため、先に自分の塀を3つの数字にしておきます。
- 長さ:道路や隣地に沿って測った延長(メートル)。名古屋市の助成では10センチメートル未満を切り捨てます。
- 高さ:道路面から塀の頂部まで(センチメートル)。敷地側と道路面に高低差があると数字が変わります。
- 見付面積:長さ×高さ(平方メートル)。川崎市の助成金はこの見付面積に単価を掛けます。
高さは段数からも見当が付きます。コンクリートブロックは1個が長さ約40センチメートル、高さ約20センチメートルで、6段で約1.2メートル、9段で約1.8メートルです。厚さ(10、12、15センチメートルのどれか)と控え壁の間隔も測っておきます。
単価には2つの物差しがある。市場の相場と、自治体が決めた限度額単価
行政が1メートルあたりいくらまでを妥当と見ているかの数字なので、業者の見積の検算に使えます。
| 出所 | 公開されている単価 |
|---|---|
| 住宅情報サイト | 約5,750〜1万1,500円/㎡。約10mの塀で総額12万〜35万円 |
| 一括見積サイトの集計 | 平均約3,368円/㎡(安い例約2,500円、高い例約4,700円)。総額の全国平均約10万8,750円、最安約3万6,750円、最高約22万4,000円 |
| 一括見積サイトの目安 | 約5,000〜1万円/㎡。10㎡で約5万〜10万円 |
| 大阪市の限度額単価 | 2万4,900円/m(基礎撤去あり)、1万2,200円/m(なし) |
| 草加市の限度額単価 | 2万300円/㎡(基礎撤去あり)、1万4,200円/㎡(なし) |
| 杉並区の限度額単価 | 2万8,000円/m |
| 江戸川区の限度額単価 | 2万5,000円/m |
| 練馬区の限度額単価 | 8,000円/m、危険性が高いと判定された塀は1万7,000円/m |
| 川崎市の限度額単価 | 見付面積6,250円/㎡ |
| 名古屋市・町田市・国分寺市 | 6,000円/m |
高さ1.2メートルの塀は1メートルあたり1.2平方メートルなので、平方メートル単価に1.2を掛ければメートル単価に換算できます。5,000〜1万1,500円/㎡は、約6,000〜1万4,000円/mです。
見積書のどこに金額が乗るか。動かすのは長さより現場の条件
解体の情報サイトは小規模でも総額約5万円は見ておくよう案内しています。公開された見積例では、塀17列3段分(約4.08平方メートル)が2万6,520円、門柱1本が1万円で合計3万6,520円でした。
総額を上下させるのは、長さよりも次の条件です。
- 基礎を撤去するか残すか。大阪市と草加市は基礎撤去の有無で限度額単価を分けており、差は1.4倍から2倍です
- 重機が入るか。前面道路が狭く手作業になると日数が増えます
- 塀の種類と厚さ。万年塀、大谷石、化粧ブロック、鉄筋とモルタルで固めた塀は切断に手間がかかります
- 門柱が付いているか。草加市は接する門柱も補助対象に含め、名古屋市も門柱等を含みます
- 塀に付いている物。川崎市はフェンスや門扉、塀の下の擁壁の撤去費を助成対象外としています
- 依頼する時期。一括見積サイトは2月から4月が繁忙期、5月から9月が閑散期としています
\ 同じ条件で3社に出してもらう /
長さ、高さ、基礎を撤去するかどうかを同じ条件で伝えないと、単価の出し方が違う見積書が並びます。相見積りは無料で、契約は交付決定の後に回せます。
無料で解体費用を比べる助成金が出るかは、3つの線で決まる
ブロック塀の撤去には、家屋の解体とは別枠の助成制度があります。対象になるかの線は3つに集約されます(2026年7月30日に各自治体のページで確認)。
- 道路等に面しているか。名古屋市、川崎市、草加市は隣地や私道に面する部分を対象外とし、道路(川崎市は公園も)に面する部分だけを対象にしています。国分寺市は隣地に面する塀も対象です。
- 高さの線を超えているか。大阪市、練馬区、杉並区は80センチメートル以上。名古屋市、相模原市、草加市、山形市、国分寺市は1メートル超。川崎市と江戸川区は1.2メートルです
- 危険と判定されるか。練馬区は区の危険度チェックリストで1項目以上、山形市は国土交通省の点検チェックポイントで1項目以上の不適合、草加市は著しいひび割れまたは傾き、杉並区と川崎市は区が危険と判断したものという書き方です
擁壁の上に載る塀は扱いが分かれます。町田市は擁壁や土留めを対象外、相模原市は擁壁との合計が1メートル超かつ塀が60センチメートル超なら対象、杉並区は塀が擁壁を兼ねる場合まず擁壁の助成制度に相談するよう案内しています。
いくら出るか。10制度の計算式を並べて比べる
| 自治体 | 高さの線 | 計算方法 | 上限 | 更新日 |
|---|---|---|---|---|
| 大阪市 | 道路等・80cm以上 | 長さ×2万4,900円/m(基礎撤去あり)の1/2と対象経費(税抜)の1/2の低い額 | 撤去15万円、フェンス新設は別枠25万円 | 2026/4/1 |
| 名古屋市 | 道路・1m以上 | 6,000円/mと撤去費の1/2以内の低い額 | 10万円 | 2026/5/28 |
| 練馬区 | 道路等・80cm以上 | 8,000円/m(危険性が高い塀は1万7,000円/m)。1m超の部分は10cmごとに500円か1,000円/mを加算 | 区の要綱による | 2026/4/1 |
| 杉並区 | 幅員4m以上の道路・80cm以上 | 実費の2/3と2万8,000円/mの低い額 | 50万円(通学路・避難路100万円) | 2026/6/3 |
| 江戸川区 | 道路・1.2m以上 | 個人は対象費用の2/3と2万5,000円/mの低い額 | 区のページで確認 | 2025/6/3 |
| 川崎市 | 道路・公園・1.2m超 | 見付面積×6,250円/㎡と30万円の低い額の1/2 | 計算上15万円 | 2026/7/1 |
| 町田市 | 道路等の地盤面から1m超かつ敷地の地盤面から0.6m超 | 見積額と600円/10cm(6,000円/m)の低い額 | 30万円 | 2026/4/1 |
| 相模原市 | 道路等・1m超 | 対象経費の1/2。重点地区や通学路沿いは3/4 | 10万円(重点地区15万円) | 2026/6/1 |
| 草加市 | 道路等・1m超で著しいひび割れか傾き | 面積×2万300円/㎡(基礎撤去なし1万4,200円)と実費の低い額の2/3 | 40万円 | 2026/4/20 |
| 山形市 | 道路面より1m超、工事費5万円以上 | 撤去経費(税抜)の66パーセント | 20万円 | 2026/3/25 |
長さ10メートル、高さ1.2メートル(見付面積12平方メートル)の塀を税込15万円で撤去したと仮定した、公開されている計算方法への当てはめです。草加市は12平方メートル×2万300円と実費15万円の低い方の3分の2で約10万円、名古屋市は6万円、川崎市は12平方メートル×6,250円の2分の1で約3万7,000円。同じ工事で約3万7,000円から約10万円まで開きます。
撤去後に何を残すかで、対象から外れることがある
- 練馬区:道路に面する塀は高さ60センチメートル以下に撤去する
- 江戸川区:撤去後に道路側0.6メートル超の塀を設置または存置すると対象外
- 大阪市:高さ80センチメートル未満となるよう撤去する工事が対象
- 川崎市:1.2メートル以下となるよう撤去。上部のみでも全部でも対象
- 相模原市:全部を取り除くか、道路面からおおむね40センチメートル以下に減じる
大阪市は撤去範囲内の軽量フェンス新設に上限25万円、国分寺市はフェンス等の設置に1メートルあたり4,000円、杉並区は撤去と新設を合わせて上限50万円(通学路や避難路は100万円)です。
順番を間違えると0円になる。締切は二段構え
共通の落とし穴は契約の順番です。名古屋市は交付決定通知の前に契約すると補助金を交付できないと明記し、江戸川区は承認通知書より前の着手または契約を対象外、川崎市と国分寺市と町田市も契約前の申請を求めています。契約書に判を押すのは交付決定の後です。
締切は申請と完了報告の二段です。大阪市は申請が2026年12月28日必着、完了報告が2027年2月26日必着。相模原市は受付が2026年4月16日から12月28日、完了報告が2027年2月26日まで。練馬区は申請が2027年1月末、完了手続きが2027年3月31日まで。川崎市は毎年度4月1日から翌年1月31日まで。名古屋市は年度の2月末までに完了実績報告書を出せる計画であることが条件です。山形市は2026年度の募集を8月17日から8月28日までとし、申し込みが多い場合は抽選です。
立て替えの負担は代理受領で軽くなります。練馬区は2023年12月から使え、名古屋市にも制度があります(空き家の解体補助金、解体の補助金を自治体別に探す手順)。
危険かどうかは、国のチェックポイントで判定される
3つ目の線になる危険度は、国土交通省が2018年6月に公表した点検のチェックポイントが元です。外観で見る5項目と、専門家に相談する1項目があります。
- 高さは地盤から2.2メートル以下か
- 厚さは10センチメートル以上か(高さ2メートル超2.2メートル以下は15センチメートル以上)
- 高さ1.2メートル超なら、長さ3.4メートル以下ごとに高さの5分の1以上突出した控え壁があるか
- コンクリートの基礎があるか
- 傾き、ひび割れはないか
- 専門家に相談:直径9ミリメートル以上の鉄筋が縦横とも80センチメートル間隔以下で配筋されているか、基礎の根入れ深さは30センチメートル以上か(高さ1.2メートル超の場合)
レンガ造や石造、鉄筋のない組積造は基準が別で、高さは地盤から1.2メートル以下、控え壁は長さ4メートル以下ごとに壁厚の1.5倍以上突出、根入れ深さは20センチメートル以上です。大谷石や万年塀はこちらで見ます。大阪市によると1981年6月1日の建築基準法施行令の改正で、組積造の塀は2メートルから1.2メートル、補強コンクリートブロック造は3メートルから2.2メートルに規制が強化されました。改正前の塀は当時は適法でも現在の基準では不適合です。
境界の上に建っている塀は、一人では決められない
民法229条は、境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝および堀は相隣者の共有に属するものと推定すると定めています。別の証拠がなければ隣家との共有物です。町田市は、申請者以外に所有者がいる場合、所有者全員の同意書を求めています。
塀の中心が境界線のどちら側にあるかを図面と現況で確認し、費用の負担と撤去後の目隠しをどうするかを書面にしてから工事に入ります。
庭の他の撤去とまとめる場合の注意
運搬、ガラの処分、重機の回送は1回にまとめたほうが安くなります。塀だけで呼ぶと運送費の比重が大きいので、庭石や庭木、物置の撤去を同じ日程に入れるのは費用面で合理的です(庭石の処分費用、庭木の伐採費用)。
ただし助成を使うなら、見積書は工事ごとに分けてもらいます。国分寺市は販売を目的とした整地や解体に伴う撤去を対象外とし、山形市は住宅リフォーム補助と別見積書・別契約であれば同一年度に両方申し込めるとしています。家屋そのものを壊す場合は空き家の解体補助金側の制度になり、どちらが有利かは両方の金額を出してから決めます(空き家の解体費用)。
\ 塀と庭をまとめた見積も比べる /
塀の撤去だけでも、庭石や物置と合わせても、条件を書いて一括で依頼できます。断りの連絡を代行してもらえるので、比べるだけで終わらせても問題ありません。
無料で解体費用を比べる