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空き家のリフォーム費用の相場|住める状態に戻すまで

空き家のリフォーム費用の相場|住める状態に戻すまで

長く空いていた実家を住める状態に戻すのに、いくらかかるのか。業者に見積もりを頼む前に、相場だけ先に知りたいという段階で止まっている人は多い。

結論から書く。部分的な補修なら数十万円〜500万円、全面改修なら500万〜2,500万円が目安。ただし金額を出す前に決めるのは、住むか貸すか売るか壊すかという出口のほうだ。

この記事の目次
  1. 空き家のリフォーム費用は規模で3段階に分かれる
  2. 部位別の費用相場一覧
  3. 空き家にだけ上乗せされる5つの費用
  4. 見積もりを取る前に確認する4つのこと
  5. 費用を出す前に決めるのは「出口」
  6. 売るつもりなら、リフォームが控除の要件とぶつかることがある
  7. 使える補助金と減税(2026年7月時点)
  8. 何もしない場合にかかる費用と、税金が上がる条件
  9. 費用を抑えるための現実的な手順

空き家のリフォーム費用は規模で3段階に分かれる

費用は建物の大きさよりも、どこまで手を入れるかで決まる。3段階で押さえておくと、出てきた見積もりがどの段階の話なのか判断できる。

工事の規模主な内容費用の目安
表層中心クロス・床の張り替え、清掃、設備の部分交換数十万円〜500万円
水回り+内外装水回り一式の交換に、屋根や外壁の改修を足す500万〜1,000万円台
全面(スケルトン)構造だけ残して間取り・配管・断熱まで一新1,000万〜2,500万円

リショップナビは、部分的な工事を数十万円〜500万円以内、一戸建ての全面リノベーションを500万〜2,000万円としている(リショップナビ「空き家リフォーム・リノベーションの費用と補助金」/2026年7月31日確認)。SUUMOの記事では、35坪の一戸建てで築30年なら約1,700万〜2,000万円、築50年なら約2,000万〜2,500万円という目安が示されている(SUUMO「空き家リノベーション・リフォームのメリット・デメリットとは?」/同日確認)。

工期は水回りと内装が中心なら1〜2カ月、全面改修なら3〜4カ月が目安になる。

部位別の費用相場一覧

部位ごとに分解する。下の数字はリショップナビが公開している相場(前掲・2026年7月31日確認)だ。

工事箇所費用の目安
壁紙(クロス)の張り替え800〜1,500円/㎡
床材(フローリング)の張り替え3万〜6万円/畳
キッチン交換50万〜150万円
浴室(ユニットバス)交換50万〜150万円
トイレ交換15万〜50万円
洗面所10万〜50万円
外壁60万〜300万円
屋根15万〜260万円
耐震補強25万〜150万円
内窓の設置8万〜15万円/箇所
シロアリ駆除1,150〜3,000円/㎡

水回りは本体価格だけでは終わらない。NPO法人空家・空地管理センターは、キッチン・風呂・トイレをすべて入れ替えると100万円以上かかるのが一般的で、雨漏りがある場合は屋根の補修に室内の改装が加わって100万円以上になると説明している(空家・空地管理センター「空き家のリフォームはどれくらい費用がかかるの?」/2026年7月31日確認)。

空き家にだけ上乗せされる5つの費用

1. 給排水管の交換

長期間水を流していない配管は錆や詰まりが進みやすい。設備を新品にしても管が古いままなら数年で漏水が出る。壁や床を開ける工事になり、内装のやり直しがセットになる。

2. シロアリと雨漏り

雨漏りを放置した家は天井裏や柱に湿気が回っている。駆除だけなら平米あたり1,150〜3,000円だが、食われた土台や柱の交換が必要になると桁が変わる。

3. アスベストの調査と除去

古い建材にアスベストが使われていることがあり、除去には専門の対応と追加費用が必要になる。工事の途中で構造上の問題が見つかり、想定外の費用が発生する場合もある(前掲SUUMO/2026年7月31日確認)。

4. 耐震補強

1981年以前の建築確認で建てられた家は、旧耐震基準の可能性が高い。補強は25万〜150万円が目安だが、基礎に鉄筋が入っていない古い建物では、この幅の上限を超えることもある。

5. 残置物の撤去

家財が残ったままでは着工できない。片付けはリフォーム費用とは別枠で、部屋数と量で金額が決まる。

残置物の片付けだけ先に切り出す

家財が残っていると、業者は現地調査で建物の状態まで見きれない。片付けは片付けの専門業者で料金を比べたほうが、リフォーム本体の見積もり精度も上がる。

遺品整理の料金を比べる

見積もりを取る前に確認する4つのこと

建築時の設計図書があるか

図面が残っていると構造の想定がつき、見積もりのぶれが小さい。押し入れや仏間の書類箱に確認申請の副本が残っていることがある。

建築確認を受けた時期

1981年以前かどうかで、耐震補強の要否と補助金の対象が変わる。登記簿の新築年月日ではなく、建築確認の時期で見る。

インスペクション(住宅診断)を入れるか

建物の劣化状況を診断してもらう費用は5万〜10万円程度とされる(アキサポ「空き家リフォームを徹底解説」/2026年7月31日確認)。数百万円の工事の前に惜しむ理由は少ない。

大規模な工事なら建築確認の手続きが要る

2025年4月以降に着手する工事から、木造2階建てなどで行う「大規模の修繕・模様替」が建築確認手続きの対象になった。対象は主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の1種以上について行う過半の改修などで、キッチン・トイレ・浴室といった水回りだけの工事やバリアフリー化の手すり設置は従来どおり手続き不要とされている(国土交通省「建築確認・検査の対象の見直し」同「リフォームにおける建築確認要否の解説事例集」/2026年7月31日確認)。手続きが入ると設計料と工期が増えるので、見積もり依頼の段階で対象になるかを業者に聞く。

費用を出す前に決めるのは「出口」

相談者相談者
住むかどうかもまだ決めていないのに、リフォーム代を調べている気がする

順番が逆だ。リフォームは出口を決めるための手段で、出口が違えば必要な工事は変わる。

出口必要な工事の水準回収の考え方
自分や家族が住む断熱・耐震・水回りまで。生活の質に直結する家賃を払わずに済む分で回収する
貸す入居者が困らない最低限+設備の更新想定家賃×年数で回収できるか計算する
売る買い手が引くほどの劣化だけ直す工事費以上に査定が上がるとは限らない
解体して更地リフォームしない解体費と、更地後の固定資産税を織り込む
実家じまいナビ編集部 実家じまいナビ編集部の実体験

編集部の場合(建物ではなく土地)

編集部は沖縄の傾斜地を相続し、売却・寄付・国庫帰属と出口を順に検証して、どれも成立しないまま保有を続けている。固定資産税は年約7万円。土地なのでリフォームの話ではないが、出口の見込みが立たないまま費用を投じると支出が増えるだけで状況は変わらない。工事の金額より先に、その工事で何を終わらせるつもりなのかを決める。

売った場合の金額を先に押さえる

リフォーム費用と比べる相手は、現状のまま売った場合の査定額。無料で複数社の見積もりが取れるので、工事の判断材料として先に持っておく。

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壊した場合の金額も並べて比べる

解体費が分かると、リフォームして残す価値があるかどうかの線引きができる。更地にした後の税負担は次の章で扱う。

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残す方向なら実家を残す場合のリフォーム費用と、貸すという選択、売る方向なら実家を売る手順と相場の調べ方|更地と現状の比較で金額の比べ方が揃う。

売るつもりなら、リフォームが控除の要件とぶつかることがある

相続した空き家を売る場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例がある。ただしこの特例は、「住める状態に戻す」一般的なリフォームとは、求めている要件が違う。

国税庁の説明では、適用には売却時点で一定の耐震基準を満たすか、売却の翌年2月15日までにその基準を満たすようリフォームするか、同じ期間内に家屋を全部取り壊すかのいずれかが必要とされる。適用期間は平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡で、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることも条件になる。控除額は令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合、2,000万円に下がる(国税庁タックスアンサーNo.3306/2026年7月31日確認)。

内装をきれいにして水回りを新しくしても、耐震基準を満たさなければ要件は満たさない。取り壊すなら内装工事は要らない。売却が視野にあるなら、工事の内容を決める前にこの特例を使うかどうかを税理士に確認する。

実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
きれいにしてから売る、が一番損になる組み合わせもある。順番を先に決める。

使える補助金と減税(2026年7月時点)

補助制度は年度で入れ替わる。以下は2026年7月31日時点の内容だ。

国の制度:住宅省エネ2026キャンペーン

国土交通省・経済産業省・環境省が連携し、みらいエコ住宅2026事業、先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業、賃貸集合給湯省エネ2026事業の4事業で構成されている(住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト)。中心はみらいエコ住宅2026事業で、補助上限は新築時期で変わり、平成3年までの住宅なら義務基準100万円・次世代省エネ基準50万円、平成4年〜平成28年なら義務基準80万円・次世代省エネ基準40万円。工事着手は2025年11月28日から2026年12月31日まで、交付申請も2026年12月31日までで、予算上限に達した時点で終了する(みらいエコ住宅2026事業 公式サイト・リフォーム)。

これらの事業は契約した住宅事業者が交付申請を行う仕組みで、施主が自分で申請することはできない。登録事業者かどうかを業者選びの段階で確認する。

自治体の制度

移住や空き家バンク登録を条件にした改修補助を持つ自治体は多いが、内容は市区町村ごとに違う。全国の制度は住宅リフォーム推進協議会の地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイトで、耐震化・バリアフリー化・省エネルギー化などの分類から探せる。同サイトも最新情報は各自治体に確認するよう案内している。

どの制度が自分の物件で使えるかは、空き家のリフォーム補助金|移住や賃貸で使える制度で条件別に整理している。

何もしない場合にかかる費用と、税金が上がる条件

リフォームしない選択にも費用はかかる。維持費と、条件によって上がる固定資産税だ。

住宅が建っている土地には住宅用地特例があり、固定資産税の課税標準が200㎡以下の部分で6分の1、200㎡を超える部分で3分の1に減額される。ところが、市区町村長から勧告を受けた特定空家等の敷地は、この特例の適用対象から除外される。2023年(令和5年)12月13日に施行された改正空家法では、放置すれば特定空家等になるおそれのある「管理不全空家等」が新設され、勧告を受けた場合はこちらも同じく特例の適用対象から外れることになった(国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」同「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律について」/2026年7月31日確認)。

総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(確報集計)では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率13.8%で過去最高。賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家は385万6千戸(総務省統計局・令和6年9月25日公表/2026年7月31日確認)。制度が厳しくなっているのは、この385万6千戸が動かないままだからだ。

費用を抑えるための現実的な手順

値引き交渉より効くのは頼み方の設計だ。

  1. 3社に相見積もりを取る。同じ要望を同じ条件で伝えて比べる。1社だけでは、その金額が高いのか安いのかを判断する材料がない。金額だけで決めず、追加費用が出る条件を書面で確認する。
  2. 工事に優先順位をつける。雨漏り・シロアリ・給排水管など、放置すると被害が広がるものが最優先。内装の見た目は後から足せる。
  3. 工事を分割せず、まとめて発注する。足場を組む屋根と外壁は同時にやるほうが安い。逆に、水回りと内装を別々の年に分けると、養生や解体が二重になる。
  4. 設備のグレードで調整する。キッチンや浴室は同じ工事内容でも本体価格の幅が大きい。総額を落とす余地はここにある。
  5. 補助金の対象工事を先に組み込む。断熱や窓の改修は、後から足すより最初のプランに入れたほうが要件を満たしやすい。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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